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民法(民事系)の答案の書き方 ※旧ブログ記事転載

司法試験

またブログの更新が滞っておりました。

軽く近況報告をさせていただくと、先日修習地が決まり、司法研修所から「白い悪魔」こと白表紙が送られてきました。事前課題や白表紙の読み込み、各種ガイダンス等で段々と忙しくなってきていますが、いよいよ修習という次のステージへ進めると思うとワクワクします。

 

さて、 最近はなんだかんだで司法試験の受験指導をさせていただく機会が多くあります。後輩の答案添削から、再受験者のためのゼミ指導、某予備校での択一試験対策講義などなど…。ぼく自身、受験指導が得意という自覚はないのですが、何にせよ、目標を持って頑張っている人の応援をさせていただけることは、大変光栄であり、ぼくにとってもいい刺激になっています。

 

先日、再受験者向けに民法の論文答案の書き方を指導させていただいたのですが、その際に配布したペーパーが割と好評だったので、このブログにも掲載させていただこうと思います。民法一般の論文答案の書き方について書いたつもりではありますが、上記ゼミで取り扱った問題が平成24年民事系第1問であったため、多少その問題意識に引きずられているところがあります。

では、以下引用です。

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1 総論

  • 試験が始まったらまず配点比率を確認し、時間配分・紙幅配分の目安にする。

  • 答案のナンバリングは、第1→1→(1)→ア→(ア)の順とし、レベル毎に字下げを行う。第1や1といった大きい項目にはできるだけ見出しを付けるようにする。

  • 条文の指摘を怠らない。条文の指摘そのものに点が振られていることを忘れずに。条文を摘示する際は、項数、号/柱書、前段/後段、本文/但書まで特定する。

  •  要件の解釈論や当てはめを行う際には、条文の文言を「 」で引用し、できるだけ条文の文言に引きつけるようにする。

  •  答案構成は問題文の問いに対応させる。特に民法の場合は問いが親切で答案構成を誘導してくれているので、素直にそれに乗っかる(見出しも問いに対応させる)。

  •  答案の結びは、必ず問いに対応させる。
    ex 「主張は認められるか」→「主張は認められる/認められない」
     「請求することができるか」→「請求できる/できない」

  • 典型契約の成立を認定する際は、冒頭規定に定められた当該契約の本質的要素を摘示する。「契約の締結」=「契約の成立」ではないということに留意。事実摘示の方法は、『民事判決起案の手引』(法曹界)巻末の事実摘示記載例集を参考にするとよい。

    ex 売買契約の場合
    ☓「XとYは売買契約を締結している(555条)。」
    ○「XはYに対し、平成○月○年○日、本件土地を代金1000万円で売っているので、XY間で売買契約が成立している(555条)。

    ex 寄託契約の場合
     ☓「XとYは寄託契約を締結している(657条)。」
    ○「XとYは、平成○月○年○日、本件建物においてYがXのために△△を保管することを合意し、同日、XはYに対し△△を引き渡している。したがって、XY間で寄託契約が成立している(657条)。」 

2 各論

(1)設問1について(要件事実論)

  •  設問1で問われる「法律上の意義」とは、要するに当該事実の主張立証上の位置づけ(意味付け)のことである。

  • 司法試験で問われる事実の主張立証上の位置づけはだいたい以下のパターンに分類される。
    ①請求原因事実(主要事実)に直接該当する事実
    ②請求原因事実に直接には該当しないがその存在を推認させる事実(積極の間接事実)
    ③請求原因事実に直接には該当しないがその不存在を推認させる事実(消極の間接事実)
    ④抗弁事実(主要事実)に直接該当する事実
    ⑤抗弁事実に直接には該当しないが、その存在を推認させる事実(積極の間接事実)
    ⑥抗弁事実に直接には該当しないが、その不存在を推認させる事実(消極の間接事実)
    ⑦請求原因事実や抗弁事実とは無関係(法律上の意義なし)

  • このような主張立証上の位置づけを論じるには、前提として何が請求原因事実で何が抗弁事実であるのかを明らかにする必要があり、そのためには実体法上の要件の理解と解釈が不可欠となる。
    ※出題趣旨からの引用
    「設問1では、要件事実とその主張立証責任について平板に述べただけでは足りず、要件事実理解の前提となる民法の実体法理論について丁寧な分析と検討をし、これを踏まえて要件・効果面へと展開することが求められる。」

  • 以上により、設問1の書き方としては、次のようになるはずである。
    (ⅰ)当事者の言い分に基づく法律構成(条文)の摘示
    (ⅱ)実体法上の要件の摘示(条文の文言を引用して列挙する)
    (ⅲ)列挙した要件につき何が請求原因となり何が抗弁に回るかの検討(実体法の解釈論)
    (ⅳ)下線部の事実がどの請求原因/抗弁との関係でどのような意味をもつのかの検討

(2)設問2以降について(請求権パターン)

  • 請求権パターンとは、一定の事実関係や当事者の言い分を前提に、「何を請求することができるか」「どのような法的手段が考えられるか」などと問う問題のことをいう。

  •  何が請求できるかは、すなわち条文に規定された法律効果による。したがって、請求権パターンは、法律効果(請求の趣旨)から遡って複数ありうる法律構成(訴訟物)を考えさせ、その要件の充足性を検討させる問題といえる。

  •  よって、請求権パターンの検討順序(考え方)としては、次のようになる。
    ①誰が誰に何を要求しているのか(たいていは「金を払え」か「物を渡せ」のどちらか)
    ②請求の根拠となる法律構成(条文)は何が考えられるか(訴訟物の設定)
    ③当該法律構成によった場合、どの要件を充足しなければならないか(要件の列挙)
    ④本問では特にどの要件が問題となり、どのような解釈がありうるか(要件の解釈)
    ⑤自説の解釈によれば、本問で要件は充足されているか(あてはめ)
    ⑥要件を充足するとした場合、具体的に何が請求できるか(請求の内容及び結論)
    ※もっとも、新司法試験においては、設問の側で①②まで特定してくれている場合も多い。

  • 請求権パターンの基本的な論述スタイルは、(ⅰ)冒頭で要件列挙→(ⅱ)要件ごとに項目分けをして一つずつあてはめる、となる。もっとも、特に問題となる要件については問題提起→規範定立(判例通説に従う)→あてはめの順で丁寧に検討する。

  • 上記の論述スタイルをとるメリットは次の2点にある。
    ①冒頭で要件を全部挙げているので検討漏れを防げる(いわゆる「論点飛びつき型答案」になることを防げる)。
    ②新司法試験では何を書けばいいのか一見して分からない問題が多いが、要件を一つ一つ検討するというスタイルをとっていれば問題点に気がつきやすく、仮に気がつかなくても無意識に言及できているということがあり、相対的には浮き上がることができる。

  • 債務不履行や過失(帰責事由)の有無を論じる際には、当事者がいかなる義務を負っているのか(契約内容の解釈から導く)、いかなる行為によってそれに違反したといえるのかを具体的に特定する。

  • 損害賠償請求の場合には、「損害」の中身(損害項目、損害額、原因行為との相当因果関係の有無など)を具体的に書く(会社法でも注意)。 

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以上です。少しでも受験生の皆様のお役に立てましたなら幸いです。